2019年4月1日~2019年5月15日に開催したcotenコンテスト「いとなみ」にご応募いただいた皆様、誠にありがとうございました。
cotenの特性を活かした、素晴らしい作品が数多く集まりました。
審査員の公文 健太郎先生より、受賞された作品に講評をいただいておりますので、併せてご覧ください。"
命の響きを感じて生きる
森の命をいただく行為に向き合った素晴らしい作品です。テーマはもちろんですが、一枚一枚の写真の完成度も高く、全体の構成も緊張感の緩急がついた計算されたものになっています。特に5枚目。獲物の姿が見えるのか、見えないのか・・・気配を最大限に感じさせます。この気配が見る人に自然の崇高さを感じさせる余韻になっているように思います。さらなる広がりを求めて撮影を続けられることを期待しております。
〇作品制作の趣旨
「カヨウヒト」岡田 崇寛
私には2人の娘がいる。
長女は、小児ぜんそくを持病として持ち、幼いころはたびたび入院を繰り返した。
24時間、点滴治療のため、私も付添入院をした。
学校に行けない娘、仕事に行けない私。
しかし、もちろん世間は、私たちのそんな事情などお構いなしに日常が流れてゆく。
病室の窓から外を眺める。
学校や職場へ「カヨウヒト」が見える。
(あ~、みんな「カヨ」ってる。)
以前の私は、「カヨウ」日々があまりに日常過ぎて、自身が「カヨウ」ことも、世間の「カヨウヒト」にもほぼ無意識・無関心であったが、この日以降
「カヨウヒト」を見て、みなが同じ時間に動いていることを実感し、「カヨウ」私自身も社会の一員であり、社会とつながっているのだ。と思うようになった。
いつものように「カヨウ」ことが、なんと素晴らしいことか。
そう「カヨウヒト」の姿は美しい。
だから、私は、「カヨウヒト」を撮り続けている。
日常のスナップですが、どこかに向う人でまとめたアイディアが面白いですね。cotenでの発表は組み写真となりますが、ただ気に入っているものを並べただけでは見る人に伝わりません。方法は様々ですが、このようにテーマを絞るのも良いと思います。全10点の作品のうち7点が学校に通う人ですが、もうすこしひねりを効かせてカヨウヒトを探してみても良かったかもしれません。満員電車や、夜勤なども撮ってみてはどうでしょうか。
生活の一瞬を取りこぼさないように、忘れないために・・・
短冊状に写真をカットしてつなげたコラージュ作品。面白いですね。写真は正解はないと思いますので、どんどんチャレンジしてください。一本づつ全く違うシーンを組み合わせたものに加えて、二本、または三本と一つのシーンを並べるパートをつくることで、リズムを感じることができ、飽きることなく楽しみました。春の麗らかな雰囲気が存分に感じられる作品でした。
夏の風景は刺激的、目に見えるものすべてがドラゴンの炎で夏色に焦げ付く。でも夏が好き。息苦しいほどの濁った熱気を一枚一枚の写真に焼き付けてみました。
断片で紡がれた世界観が個性的です。どの写真も違和感のようなものが映っていて見入ってしまいます。この点数のなかで「金魚」、「水槽?」、「金魚の絵」とモチーフがかぶるのが少し勿体無いなと感じました。もう数枚夏の断片が映っていると、さらに上の賞を取れたと思います。
日常は非日常のフラグメント。
そんな断片を拾い集めてみました。
力強いモノクロスナップで目をひきました。どの写真もどきっとする何かに狙いを定め切り取られています。特に最後の作品は、どういう人なのかという謎と怖さが映っていて印象に残りました。常にカメラを持って歩かれているのでしょうか。シーンも多岐にわたっており、撮影を楽しんでいることも伝わってきます。スナップはどれだけたくさん撮るかが大切です。感覚にビビッとくるものに反応し、これからも撮り続けてください。
1981年生まれ。写真家 。ルポルタージュ、ポートレートを中心に雑誌、書籍、広告で幅広く活動。同時に国内外で「人の営みがつくる風景」をテーマに作品を制作。近年は日本全国の農風景を撮影し『耕す人』と題して写真展・写真集にて発表。